雨の日後輩にコートを貸したら自分の彼氏を痴漢にするところだった

このところ五月晴れが続いたせいか傘はおろかコートなど用意もしていなかったのに天気予報は外れて午後になると雨が舞い降りた。

よりによってこんな時に外出の用事を言い付けられるとは運が悪い。

傘は会社にも備え付けのものが用意されているにしても、お気に入りの洋服は汚したくない。

しかもアフターファイブにはデートを予定している週末。

出来るだけ雨を避けて歩くにしても多少の汚れは覚悟しなければならなかった。

そんなOLの心中を察してか用意周到の先輩OLが雨の日用に備えてあったコートを貸してくれた。

助かったと思いお礼を言って勧められるままにコートを羽織り、目的地の銀座へ向かった。

用件は簡単だし地下鉄を使えば雨もさほど気にならない。
レインコート
とりあえずの心配事を解決して簡単に用事を済ませたOLは会社への帰途につこうと地下鉄の駅に向かったが4丁目の交差点に近づいたあたりで急に腕を組んでくる男がいる。

OLは驚くとともに悲鳴をあげて叫んだ!

「突然何をするんですか!」「警察を呼びますよ!」

騒々しい時間帯の騒々しい場所でさえも彼女の声は響き渡った。

銀座4丁目の交差点といえば備え付けの交番があるというくらい近くに警官が待ち構えている。

即座に警官は声の場所に辿り着いた。

「いったい何があったのですか?」

聞くまでも無く警官は痴漢と思い込んでいる。

場所柄、用件の大半は道を聞かれるか痴漢の対応に追われるからだ。

「この人が突然腕を組んできたのです。」

即座にOLは応答したが、腕を組んだ男に悪気は無かった。

何故ならば、この男はコートの持ち主の恋人で、彼女の誕生日にコートをプレゼントしたのも本人だった。

もちろん柄は憶えている。

しかもプレゼントされた先輩OLは他人のものと見分けを付けるためにボタンの色を変えて彼氏にもそのことを告げていた。

なので、背格好も同じ感じのOLがコートを着ているので疑う余地も無く、少しだけ驚かそうと思って、いきなり腕を組んでみただけのこと。

声を上げられて反対に驚いたのは男のほうである。

しかも予想もせずに人違いで痴漢の容疑まで降りかかったのだからたまらない。

釈明しようにも証明するものは皆無といって良い。

手がかりのコートには名前も書かれていないし、OLの勤める会社には制服もない。

ようやく、少しだけ落ち着いて声を発した。

「そのコートで人違いをしてしまいました。」「本当にごめんなさい」

どうやらOLも事情が飲み込めて確認してみた。

「このコートは先輩から借りてきたもので私のものではありません。」「もしやあなたは玲子さんの知り合いですか?」

男はほっとして先輩OLである玲子の名字を告げた。

これによって痴漢容疑は晴れたものの頭の固い警官には交番まで連行されて、いきなり相手を確認せずに女性と腕を組むとは何事かと散々説教されてしまった。

親切な先輩OLの好意が自分の彼氏を痴漢にしてしまうところだったという話。


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